マナーは相手への優しさ

 

おはようございます。

マナー&コミュニケーション講師の金森たかこです。

 

今日から、マナーやコミュニケーションについて、日々感じたことを書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

もう30年以上前になりますが、新卒で入社した企業の人事部で、人材育成や役員の秘書業務に携わったことが、私の仕事のスタートでした。2年目からは、面接官のアシスタントや社内講師も担当し、この時の経験が今の私の仕事の軸になっています。

 

私が働いていた当時、世間を騒がせた大きな事件がありました。

食品会社をターゲットとした脅迫事件です。「かいじん21面相事件」とも言われています。

勤めていた会社も犯人の標的となり、テレビや新聞で報道され社内は騒然となりました。先輩と共にマスコミ対応を任された私は、ポケットベル(古い!)を渡され、連絡があったらすぐに会社へ駆けつけることができるよう申し渡され、緊張したことを覚えています。

 

私は会社が大好きでした。その大好きな大切な会社が脅迫されている。私には何も出来ないけれど、会社から連絡があればすぐに駆けつけられるよう、ポケットベルを渡されている間は、休日でもほとんど家にいました。

結局、一度も呼び出されることはなく、事件は未解決のまま時効を迎えています。

 

その後起こったのが、飛行機事故です。

この飛行機事故も、会社に暗い影を落としました。

 

この事故の数年後に退職しましたが、今でも当時の同僚や先輩方との交流があり、年に一度のOB.OG会では司会をさせていただいています。

 

初めて働いた会社がこの会社で良かったと、私は心からそう思います。

会社にとってどんなに辛く困難なことがあっても、皆が自分にできることを考え、困難を乗り越えるために動いていく。

皆が力を合わせて前へ進んでいく。

そして何より、みんな優しく明るかった。仕事に行くのが楽しかったことが思い出されます。

 

今でも良く覚えていること、

それは担当していた相談役の、誰に対しても変わらない思いやりに溢れた言動です。

朝一番にお茶をお出しすると、毎回必ず

「柿本さん(旧姓です)の入れてくれるお茶は美味しいねぇ」

と言ってくださいます。

私に用事を頼むときは、

「忙しいときに悪いけど…」

と、毎回気遣いの一言を付けて

用事を済ませたら、必ず「ありがとう!」の言葉。

 

「そこに置いておいて」なんて一度も言われたことはありません。

 

ちなみに、その用事というのは

「氷砂糖が無くなったから買ってきて欲しい」

「引き出しを開けたら耳かきが引っかかって折れてしまったから、新しいのを買ってきて欲しい」

というような、クスッと笑える可愛いものでした。

 

担当させていただいた相談役は、長年専務をされていて、現役時代はとても厳しい方でした。

そんな方が、孫くらいの年齢の私を気遣ってくださる。

 

日々の業務の中で仕事の進め方を覚えていくのと同時に、上司や同僚、お客さまとのやり取りを重ねるうちに、人間として本当に大切なことを教えていただけたと思っています。

 

マナーは相手への優しさ。

 

困難な状況にあっても社員全員でそれを乗り越え、現在カレールウ市場では、約60%のシェアを握る会社。

 

仕事は、楽しいことばかりではないけれど、職場の雰囲気は仕事の成果に大きく影響すると、私はこの会社で学びました。